gracn’s blog

書籍紹介や身の回りのことについて書きます。今度こそ、書きます。

【書籍紹介】『イスラム国の野望』&『日本の10大新宗教』

イスラム国の野望』高橋和夫

最近話題のイスラム国について発生経緯、拡大理由、資金源、今後の展望を分かり易く解説。

 

そもそも中東諸国が国家の態を成していないこと、そこに無理(圧政や内政混乱)が生じ、

イスラム国のような過激思想集団(アルカイダタリバンヒズボラ、他)が生まれる温床になっている。

契機はサイクスピコ協定(英・仏・露)による宗教や種族を無視したオスマントルコの分割。

その後も欧米&ロシアの都合に合わせて特定国家の支援や攻撃を繰り返している。

 

イスラム国はバグダディが「カリフ」(アラブの正統後継者)を名乗り、イラクのアメリカの占領反対運動から始まる。

拡大理由はイラクとシリアの内政の混乱とスンニー派フセインのバアス党員など)の流出、

そして巧みな広報戦略(web)、急進性、黒ターバン・黒旗・1本指といったファッション性、そしてバグダディのカリスマ性。

 

資金源は石油、中東富裕層の寄付金、身代金、考古学遺産の売却、奪った銀行の資金

しかし、今後はアメリカや周辺諸国の封じ込めと資金の行き詰まりで縮小傾向が予想される。

 

 

『日本の10大新宗教島田裕巳

天理教、大本、生長の家天照皇大神宮教と璽宇、立正佼成会霊友会創価学会、世界救世会、PL教団GLAといった新宗教について、その成り立ちや歴史、特徴を紹介。

 

新宗教への主な入信理由は未開の地でのネットワークを構築。また、社会全体の経済が拡大し、将来の豊かさを望める時に信者は急増する逆に社会全体が閉塞している状況では意外と信者は増えない。(なので多くは高度経済成長期の都市に流れ込んだ人たち)

そのため今の日本では新宗教は衰退傾向であり、経済成長の著しい海外で信者を増やしている。

 

カリスマ教祖(女性が多い)とブレイン(事業家)の存在、本拠地(町)を持つ、官憲との対立や教祖・幹部の投獄を経験している、内部対立と分離・分派、組織原理習得と独立、学校(特に野球部が強い)の保持、海外展開(生長の家はブラジルの方が信者が多い)、美術館の保持、そしてどこも仏教・神道いずれかを基にしている。

個々の宗教の特徴よりも共通点の方が興味深かった。

 

  • 日本人が自分たちのことを「無宗教」と考えるのも、イスラム教徒と同様に、生まれた時から日本の既成宗教(神道と仏教)の信者になってしまうからである。(そもそも明治に入るまで「宗教」という概念がなかった。)

2015/02/16